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漢方薬はたしかに効く。ただし条件がある。

2021.04.02 / タニクリ通信

私は漢方薬による治療を提案することが多いです。なぜなら自然なものを用いた治療をできるだけ提供したいという私の感性にあっているからです。副作用が少なく、ときに著明な効果が得られることも漢方薬の魅力です。
頭痛、めまい、胃痛といった患者さんに処置室で漢方薬を服用頂き、15分後くらいに症状が半減もしくは消失することもめずらしくはありません。もちろん、痛みに対して西洋医学的な解熱鎮痛剤を服用しても症状の改善につながることは同じです。一方で、解熱鎮痛剤は胃腸障害や腎障害といった臓器への負担もありうることも意識しておかないといけません。
では、自律神経失調症、更年期障害、冷え症、片頭痛といった数ヶ月~数年単位の症状に漢方薬は効くのか?勤務医時代にはそれほど多くの種類の漢方薬を扱ったことがなかったので半信半疑であったのですが、開業してからは漢方薬の処方経験がかなり増えて、多くの患者さんと向き合った結果としては、漢方薬は慢性疾患にも効く、というのが私の結論です。
片頭痛の場合、漢方薬を併用することで解熱鎮痛剤の使用頻度を減らすこともできます。さらに、解熱鎮痛剤が無効な片頭痛に対して漢方薬が著効することもよく経験します。
どうすれば漢方薬をより深く効かせることができるのか。診療しながら常に考えています。
現時点では、患者さんの胃腸の状態を整えることが、体質や症状にあった漢方薬をさらに効かせる条件で最優先すべきことと思っています。ピロリ菌の除去、食生活改善の指導、胃腸機能を高める漢方薬や整腸剤などを併用することで、その後の経過が好転する方が多いです。
たとえば、頭痛、疲労感、食欲不振などで不登校となってしまった学生さんが、胃腸機能の改善からアプローチすることで劇的に体調が良くなり、学校に通えるようになったのをみていると、臨床医として喜びを感じます。漢方薬は奥が深く、これからも学びはつきません。