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医学部では習わないが大事なこと

2021.07.07 / タニクリ通信

医学部では解剖学、生理学、病理学、薬理学、免疫学といった基礎医学に続いて、内科疾患、外科疾患といった臨床医学をさらに臓器別(循環器、呼吸器、消化器など)に学びます。つまり、基礎医学では病気のメカニズムや治療薬、臨床医学では病気の診断方法や治療薬の使い方を学ぶこととなります。

医師になってから、病名をつけて治療を行うことはできるようになるものの、覚えた基礎医学の知識を患者さんの診断や治療に十分応用できているかというと、そう簡単なものではなく、やがて基礎医学と臨床医学に大きな隔たりを感じることとなります。

例えば、アトピー性皮膚炎や花粉症といったアレルギー性疾患の診断と一般的な治療(抗アレルギー薬、外用剤)はできるようになるものの、なぜ皮膚・眼・鼻の組織にアレルギー反応を起こすようになったのか、なぜ同じ花粉やハウスダストに暴露されても症状がでる人とでない人がいるのか、といった病気の本質や原因までつきとめて、それを除去するという根本治療は、医学部では習いませんでした。

アレルギー性疾患には、食事内容に起因する腸の慢性炎症が関わっていることが多いです。私はそのことを医師になってから栄養療法を通して学びました。食事を変えて、炎症を鎮静化する治療を併用することで、治癒する方もいらっしゃいます。基礎医学の分野では、腸内環境と皮膚の状態が相関するということが分かってきているため、あとはそれを臨床医学に応用すれば治癒も可能ということです。なぜ慢性炎症がそこに起こっているのかという視点は、基礎医学の知識をフルに活用することで推定できることであり、原因治療において最も重要なポイントです。